歯周病治療について

歯周病とは、細菌の感染によって歯ぐきが赤く腫れたり、歯が抜け落ちたりする病気で、歯を失う原因の約7割とされており、現代では30代以上の3人に2人が感染していると言われ痛みなく進むこともあり、ギネスでも一般的に蔓延している感染症として登録されています。よく言われる歯槽膿漏は歯周病の進行工程の呼び名で、同じものです。

また、なりやすい人は、歯みがきが充分にできていない人、喫煙の習慣のある人、全身疾患(糖尿病など)のある人、ストレスが多い環境にある人等はかかりやすいと言われています。

では、次からは歯周病の治療についてみていきましょう。

歯周病の治療は歯科医院で行う治療と同時に、日常のケア(歯磨きや睡眠食生活など)がとても大事なのですが、間違ったケアをされている方も実際多くおられます。例えば歯ぐきから血がでたので、強く磨いて出血させれば治ったとおっしゃる方もおられますが、出血させたので治ったのではなく、これまでの磨き方では歯の汚れが取れなかったが、しっかり磨いたことで歯の汚れが取れて、歯ぐきの腫れが引いたと推測されます。この場合、原因は歯みがきのしかたです。特に、歯みがきには患者さんそれぞれの癖があり、よく磨けているところと、よく磨けないところがあります。磨きにくいところには食渣などの汚れが残りやすく、その中の細菌も歯周病の原因となると考えられていますので、定期検診で歯科医・衛生士によるメンテナンスを受けましょう。むし歯の治療に比べて、どんな治療なのか、いつ終わるのかよく分からない歯周病の治療。症状が進んでしまうと、治療が長くなってしまいます。早めに見つけて、早めに治療を開始しましょう。それでは歯周病治療の流れについて一つ一つ説明をしていきます。

歯周病治療の流れ

STEP1症状の検査

歯周病の症状がどの程度なのか、歯の周りの状態(汚れや歯石のつき方)、歯ぐきの剥がれた部分(歯周ポケット)や歯の揺れがないのか、器具やレントゲンで調べていきます。

STEP2応急処置

歯周病の症状がとても悪く、痛みや腫れが強い場合は、応急処置を行います。

歯ぐきを切開し、溜まっている膿を出したり、応急的なかみ合わせの調整やお薬をお出しすることもあります。

STEP3お口の日常ケアを知る

一般的に、歯磨きで磨きにくいところが歯周病になりやすいところと考えられていますので、ご自身の癖を知りましょう。

磨きにくいところも、どのように汚れを取ればいいのか、何(歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き剤など)を使えばいいのか、歯科衛生士がお伝えしますので、日常の歯のケアのコツをつかんでください。

STEP4歯石の除去(スケーリング)

目で見える部分の歯の汚れや歯石を取っていきます。

STEP5の治療が必要な患者さんについては、この段階では完全にとりきらない場合があります。

STEP5歯ぐきの剥がれと出血を治す治療(SRP)

歯から歯ぐきが剥がれている部分を、もとに戻すには、歯の汚れ(バイオフィルム)や歯石を取り除く治療(SRP)が必要です。歯石の周りについているバイオフィルムには歯周病菌がたくさん生息しているので、歯科衛生士が歯石ごとていねいに取り除いていきます。

直接で見ることができない部分なので、高い技術が必要な治療となります。歯周病が進行している患者さんの場合、治療回数が多くなっ てしまう場合もあります。

STEP6再検査

歯周病の症状が治まりきらない部分があれば、再度SRPや外科処置を行うことがあります。

歯周病の症状(出血や炎症)が治まったら、次のSTEPへ進みます。

STEP7かみ合わせや見た目の回復

歯周病によって歯ぐきが後退し、歯の根っこが露出して、歯が長く見えるようになってしまった状態から、自然に見えるように人工のかぶせ物をお薦めすることがあります。

見た目はもちろんのこと、適正なかみ合わせをつくるためには、かぶせ物がとても重要な役割をします。

歯の色が気になる方は、ホワイトニングでお口元の印象をアップさせることもできます。

STEP8定期検診

歯周病治療が完了した後は、1~3ヶ月に1度、来院していただき検診を行います。この間隔の理由ですが、研究データから、多くの患者さんは3か月程の間隔での歯周病治療で歯周病の再発を発見でき、それ以上の進行を止めることができると考えられているためです。せっかく良くなったお口の環境が逆戻りしていないか、治療後の経過を確認いたします。

プロフェッショナルクリーニングですみずみまでキレイにして、お口の中をリセットさせることによって、歯周病の再発を防ぎます。

その際に、むし歯やかぶせ物の状態も併せてチェックいたします。

STEP1~8の流れをご説明いたしましたが、歯周病でない健康な状態を維持するためには、STEP8の定期検診を継続していくことが大切です。以上のご説明で歯周病の治療の簡単な流れはご理解頂けましたでしょうか。当院ではこれらの治療を歯科衛生士が責任をもってしっかりと進めて参りますので、歯ぐきが気になる等がありましたら、まずご相談ください。